JR北海道およびJR北海道文化財団は、2024年11月13日から2025年3月31日までの期間、鉄道博物館において、国鉄末期からJR北海道初期までの間に改造及び新製したリゾート列車のヘッドマーク、エンブレム、鉄道模型等の展示を行いました。JR移行後に全国で運転される様になったリゾート列車の先駆けとなった列車の思い出を感じることができました。
アルファコンチネンタルエクスプレス
国鉄末期の1985年から1986年にかけ、国鉄苗穂工場(当時)でキハ56系急行形気動車を改造したリゾート車両です。1987年の国鉄分割民営化後から1990年代にかけて、バブル景気に伴う旅客需要増加という背景とともに日本各地で多数登場した気動車をベースとしたジョイフルトレインの先駆けといえる存在です。車両愛称の「アルファコンチネンタルエクスプレス」とは、ホテルアルファトマム(アルファリゾート・トマム)と狩勝コンチネンタルホテル(サホロリゾート)の2つのホテル名から得たものです。愛称名が長く、鉄道ファンなどは「アルコン」と略して呼ぶこともありました。

車両側面に掲げられていたエンブレム

車両側面に掲げられていたエンブレム
フラノエクスプレス
1985年(昭和60年)12月に欧風気動車「アルファコンチネンタルエクスプレス」が登場しましたが、増結されるほど大変好評でした。そこで、次に富良野プリンスホテルとタイアップを行い、同様の高品質なサービスを提供した上で、乗り心地と速度向上を狙った車両として、1986年(昭和61年)にキハ80系を種車として北海道総局が「フラノエクスプレス」を登場させました。リゾート列車としての内外装が評価され、北海道の鉄道車両では初となるブルーリボン賞(第30回・1987年〈昭和62年〉)を受賞しました。なお、国鉄が開発した車両では最後のブルーリボン賞受賞車両となりました。

フラノエクスプレスのヘッドマーク

フラノエクスプレスの側面エンブレム
トマムサホロエクスプレス
トマムサホロエクスプレスは、JR北海道の第3弾リゾート気動車として、1987年(昭和62年)に苗穂工場でキハ80系を改造して製作されました。当初は3両編成でしたが、1988年(昭和63年)には食堂車を組み込んだ5両編成となりました。
1989年(平成元年)11月3 - 5日には四国四県とJR四国が共同展開していた観光キャンペーン「しあわせランド四国」の一環として、JR各社のジョイフルトレインによる四国行きの団体ツアーを行い、その間合いで体験乗車や団体ツアー、高松駅・松山駅などで展示する「JR6社ジョイフルトレイン大集結」と称したイベントが開催されました。JR北海道からは本編成が展示されることになり、10月31日から11月3日にかけて機関車牽引で日本海縦貫線(羽越本線・北陸本線など)を経由して高松駅まで運転されました。11月4日には予讃線高松
- 松山間を自力で走行し体験乗車でも使用、松山駅で展示されました。まさかのJR北海道車両が四国で走行・展示されるとあって、管理人も見学に行ったことを思い出します。帰路は11月5日、松山
- 多度津間を自力で走行し、多度津駅から機関車牽引で11月6日から11月10日にかけて東海道本線・東北本線経由で北海道へ戻りました。JR北海道のリゾート列車が秋田県以西(西日本地区)を走行した唯一の例であり、キハ80系としても最初の四国地区への入線となりました。

トマムサホロエクスプレスのヘッドマーク

トマムサホロエクスプレスの側面エンブレム
ニセコエクスプレス
ニセコエクスプレスは、JR北海道の第4弾リゾート気動車として、1988年(昭和63年)に登場し、新千歳空港駅とニセコ駅を結ぶスキー列車への運用を主目的として、自社苗穂工場で新製されました。キハ183系気動車をベースとする初の新製リゾート車両で、ニセコ方からキハ183-5001
- キハ182-5001 - キハ183-5002の3両編成でした。

ニセコエクスプレスのヘッドマークおよび側面エンブレム
クリスタルエクスプレス トマム&サホロ
クリスタルエクスプレス トマム&サホロは、JR北海道の第5弾リゾート気動車として、石勝線方面への観光輸送を主目的として1989年(平成元年)に登場しました。キハ183系をベースに自社の苗穂工場で設計、製作されました。愛称はきらめくパウダースノーの中を輝きながら走る様子をイメージしたものでした。1990年度の通商産業省グッドデザイン商品(現・日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞)に選定されています。

クリスタルエクスプレスの側面エンブレム
ノースレインボーエクスプレス
JR北海道が従前より団体列車などに使用してきたキハ56系「アルファコンチネンタルエクスプレス」の置換え用、および主に札幌 - 函館間を結ぶリゾート列車として計画された編成で、第6弾リゾート気動車としてキハ183系をベースに自社苗穂工場で新製されました。愛称は公募により決定されたものです。

ノースレインボーエクスプレスの側面エンブレム
鉄道博物館
開館時間
午前10時~午後5時(最終入館午後4時半)
休館日
本館の休館日:火曜日(祝日の場合は開館)、年末年始(12月29日から1月1日まで)
料金
大人1600円・小中高生600円・幼児300円
アクセス
埼玉新都市交通伊奈線(ニューシャトル)「鉄道博物館(大成)駅」からすぐ(徒歩1分)
鉄道博物館でJR北海道初期のリゾート列車展を開催