高速貨物 DF200-5+コキ 室蘭本線

 北海道では、無煙化以降の貨物輸送は電化・非電化区間の区別なくDD51形ディーゼル機関車を主力としてきましたが、青函トンネル開通後の輸送量増大や貨物列車の高速化に対し、DD51形の出力不足で重連での運用を要することも多く、北海道の厳しい気候風土による車両の老朽化も顕在化してきました。これを受け、重連運転の解消と老朽車両の置換えを目的として開発されたのがDF200形ディーゼル機関車です。公募により"ECO-POWER RED BEAR"という愛称が採用され、車体側面にロゴが描かれました。本形式は、1994年鉄道友の会ローレル賞(第34回)を受賞しています。


車体
 車体は20 m級の箱型で、重連運転は想定されず正面に貫通扉はありません。屋根高さを車両限界に近い4 mとして機器類の艤装空間を確保しています。車体中央部に放熱器・冷却ファンなどの冷却系統、その両隣に動力源となる機関と発電機のセットを搭載し、主変換装置・補助電源装置など電気系統機器は運転台の真後ろに各々配置されています。


動力伝達方式
 動力伝達方式は、DD51、DE10で採用された液体式ではなく、国鉄DF50形以来の電気式として設計されました。これは増大した出力に対応する大容量液体変速機の研究・開発が中止されて久しいことと、VVVFインバータ制御など、進歩を遂げた電気機器を採用することで、駆動系の小型化と保守の軽減が図れるためです。


機関
 主機関は、ツインターボ・アフタークーラ付きV型12気筒ディーゼル機関を2基搭載しています。DD51形の機関と比べて小型高出力化が図られており、エンジン・発電機・主変換装置・主電動機を含めたパワーユニットの小型化に貢献しています。0番台の車両はドイツ・MTU社製12V396形(定格出力1,700 PS / 1,800 rpm)が採用されましたが、50番台以降はコマツ製SDA12V170-1形(定格出力 1,800 PS / 1,800 rpm、最大出力 2,071 PS / 2,100 rpm)に変更されています。発電機は各エンジンに1基ずつ、計2基搭載されており、全車が東芝製FDM301形、自己通風冷却回転界磁式ブラシレス同期発電機(定格出力1550 kVA/1,800 rpm)を搭載しています。主回路電機品、補助電源装置、モニタリングシステムなど電機品は、すべて東芝製です。


主電動機
 主電動機はかご形三相誘導電動機FMT100形(320 kW)を6基搭載し、1個のインバータで1個の主電動機を制御する1C1M方式の個別制御システムを採用しています。平坦線で110 km/h以上の均衡速度(800 t牽引時)を維持することができます。主電動機の装架方式は国鉄・JRの電気機関車で汎用的に用いられる「吊り掛け式」で、動軸への動力伝達は主電動機回転子軸の小歯車と車軸側の大歯車の係合による1段歯車減速方式です。2群の機関・発電機を有することで、片機関故障時も主回路繋ぎ換えにより6軸駆動を保ち、速度は低下するものの登り勾配での起動力を維持することができます。


ブレーキ
 機関車本体用の単独ブレーキ(単弁)は電気指令式空気ブレーキを採用しています。牽引車両への編成ブレーキ(自弁)にはノッチ式のハンドル操作により、各ノッチで設定された圧力までブレーキ管圧力を減圧する自動空気ブレーキを採用しています。発電ブレーキは30 km/h以上で作動し、編成ブレーキ力が不足と判断された場合には、機関車の空気ブレーキがフォローします。



高速貨物 DF200-117+コキ 室蘭本線



高速貨物 DF200-58+コキ 室蘭本線



高速貨物 DF200-2+コキ 室蘭本線



高速貨物 DF200-62+コキ 室蘭本線 北舟岡



高速貨物 DF200-104+コキ 室蘭本線 北舟岡



高速貨物 DF200-51+コキ 室蘭本線



高速貨物 DF200-104+コキ 室蘭本線



高速貨物 DF200-63+コキ 室蘭本線



高速貨物 DF200-112+コキ 千歳線 新札幌



高速貨物 DF200-110+コキ 函館本線 旭川



高速貨物 DF200-6+コキ 根室本線



高速貨物 DF200-2+コキ 根室本線



高速貨物 DF200-108+コキ 根室本線



DF200-112 石北本線 北見





DF200形主要諸元

形式 DF200
運用者 JR貨物
(0,50,100,200,900番台)
JR九州(7000番台)
製造所 川崎重工業
製造年 1992-2013年
製造数 50両
運用開始  試作機 1993年
量産機 1994年
最高運転速度 110 km/h(貨物)
100 km/h(九州)
全長 19,600 mm
全幅 2,805 mm
全高 4,078 mm
運転整備重量 96.0 t
軸重 16.0 t
動力伝達式 電気式
台車    軸はり式空気ばね方式
ボルスタレス台車
FDT100(両端)
FDT101(中間)
機関、機関出力  V型12気筒ディーゼル機関
0番台・900番台
MTU 12V396形 2基
(定格出力1,700 PS
/ 1,800 rpm)

50番台・100番台
200番台・7000番台
コマツSDA12V170-1形 2基
(定格出力 1,800 PS
/ 1,800 rpm
発電機 東芝製ブラシレス同期発電機
FDM301形
(定格出力1550 kVA
/1,800 rpm)
2基
主電動機 かご形三相誘導電動機
FMT100形
(定格出力320kW)
6基
制御方式 VVVFインバータ制御
制動装置   自車:
電気指令式空気ブレーキ
発電ブレーキ
編成:自動空気ブレーキ
保安装置 ATS-SF
ATS-DF





JR貨物DF200形 北海道配置表

会社 形式 番号
貨物 五稜郭 DF200 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 12
五稜郭 DF200 50 50 51 52 53 54 55 57 58 59 60 61 62 63 12
五稜郭 DF200 100 102 103 104 108 109 110 111 112 113 114
115 117 118 119 121
15
































DF200