C11形蒸気機関車は、日本国有鉄道(国鉄)の前身である鉄道省が1932年(昭和7年)に設計した過熱式のタンク式蒸気機関車です。老朽化した種々雑多な支線・区間運転用機関車群の代替用として、1930年(昭和5年)に設計されたC10形の改良増備機として設計・製造された軸配置1C2の小型タンク機関車です。
蒸気機関車全廃後の復活運転に当たって、C11形蒸気機関車は小型で運転線区を選ばず扱いやすいことや、維持費が比較的安く済むことから、日本の動態保存中の蒸気機関車としては最多の6両が各地で保存運転を行なっています。
C11 171号機は、北海道唯一の動態保存蒸気機関車です。C11 171号機は、1940年(昭和15年)7月19日に川崎車輛兵庫工場で落成した3次形の1両(製造番号
2333)で、同年7月28日に稲沢機関区に新製配置され、1941年(昭和16年)10月25日に名古屋機関区に転属となり主に中京圏で使用されました。しかし、中京圏での活躍は長くはなく、1942年(昭和17年)2月14日に北海道の深川機関区へ転属しました。その後、1944年(昭和19年)4月19日に朱鞠内機関区、1949年(昭和24年)3月9日に標茶機関区、1953年(昭和28年)8月15日に木古内機関区、さらに1956年(昭和31年)9月8日に長万部機関区に転属し、廃車になるまで北海道で使用されました。そして、1974年(昭和49年)7月16日に釧路機関区に転属し、1975年(昭和50年)4月24日の無煙化まで貨物列車に使用されました。同年6月25日付で廃車となり、同8月13日から標茶町の桜町児童公園に静態保存されました。
しかし、1995年(平成7年)11月3日で「C62ニセコ号」の運行を終了したJR北海道は、代わりのSLとしてC11 171号機の返還を標茶町に要請し、1998年(平成10年)11月27日に苗穂工場にて動態復元工事が開始されました。1999年(平成11年)4月8日に火入れ式が行われ、同月21日付で車籍復活(復籍)し、同年5月1日から深川駅
- 留萌駅(のちに増毛駅)間の「SLすずらん号」で営業運転を開始しました。その後は、「SLふらの・びえい号」や「SL冬の湿原号」、「SL函館大沼号」などの道内の蒸気機関車牽引列車(SL列車)に使用されました。
しかし、JR北海道の経営難と北海道新幹線開業準備のため、2014年(平成26年)度からは「SL冬の湿原号」のみの運転となっています。このため本機は2015年(平成27年)12月26日付で旭川運転所から釧路運輸車両所に転属となりました。2021年(令和3年)の全般検査期限を前に廃車も検討されましたが、存続を決定しています。しかし、全般検査を施工したものの、シリンダーの不具合が多発し、修理の為、2022年(令和4年)の運行は全てディーゼル機関車DE10形牽引による「DL冬の湿原号」としての運行となりました。一方で、全ての客車のリニューアル工事を2023年(令和5年)に完了させ、再びSLの運用が再開されています。ただ、2024年の運用途中から補機としてDE10が連結されており、SLの運用・保守に多大な苦労が伺えます。
SL冬の湿原号 C11 171+14系客車+スハシ44+14系客車+DE10 1661 標茶にて
SL冬の湿原号 C11 171+DE10 1661+14系客車+スハシ44+14系客車
SL冬の湿原号 C11 171+DE10 1661+14系客車+スハシ44+14系客車
C11形主要諸元
形式 |
C11 |
現運用者 |
JR北海道
大井川鉄道
東武鉄道 |
製造所 |
汽車製造
川崎車輛
日立製作所
日本車輛製造 |
製造年 |
1932-1947年 |
引退 |
1971-1974年 |
最高運転速度 |
85 km/h |
全長 |
12,650 mm |
全高 |
3,900 mm |
シリンダ数 |
単式2気筒 |
シリンダ |
450 mm x 610 mm |
ボイラー圧 |
15.0 kgf/cm2 |
機関車重量 |
66.05 t |
最大出力 |
783 PS |
定格出力 |
610 PS |
制動装置 |
自動空気ブレーキ
|
JR北海道C11形 配置表
会社 |
配置 |
形式 |
番号 |
計 |
北海道 |
釧路 |
C11 |
171 |
1 |
